大統領選直後の抗議による高速道路封鎖、解除の方向へ

(ブラジル)

サンパウロ発

2022年11月04日

ブラジルで10月30日に実施された大統領選挙の決選投票結果を受けて(2022年11月1日記事参照)、敗北した現職のジャイール・ボルソナーロ氏の支持者らが高速道路の通行を封鎖や一部妨害する事態は、10月31日に最大で国内26州の421カ所に及んだものの、11月3日時点では7州の46カ所にまで大きく減少した。連邦高速道路警察(PRF)が明らかにした。

ブラジル商業・サービス・観光連盟(CNC)は11月1日、今回の事態が2018年に180億レアル(約5,220億円、1レアル=約29円)の損失を生んだとされる全国規模のトラック輸送業界によるストライキに匹敵する損失額が生じることを懸念した。全国工業連盟(CNI)も同日、直ちに封鎖を解除しない場合には燃料供給に懸念が生じるとした上で、医療現場や製造業で使用する原材料などにも影響を与え始めていると憂慮した。インフラ省によると、ブラジルは貨物輸送の約68%がトラックなどの道路輸送で賄われており、道路輸送が滞ることで製造業やサービス業など幅広い業種への影響が懸念される。

連邦最高裁判所(STF)は10月31日、国内の自由な移動を阻害することは燃料供給や都市交通、電力供給、医薬品、食品など重要な公共サービスの供給に影響を及ぼすとして、高速道路や公道で交通が違法に阻害されている状況を直ちに解除すると決定した。これにより、違法に高速道路などを封鎖しているトラックの所有者に対して1時間当たり10万レアルの罰金を科すことを定めた。また、ボルソナーロ大統領は11月2日、高速道路の封鎖は合法的なものではないとして、民主主義と自由を守るため封鎖をやめるよう呼びかけた。

(古木勇生)

(ブラジル)

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